Der Glockenbaum

独逸在住日本人の日々想ふこと。

ドイツで働く - ドイツの給与控除額 社会保険料編

日本でもドイツでも勤めている方なら誰もが支払っている社会保険料。

日本の場合とは異なり、ドイツでの社会保険料は月々の給与額が一定以下の場合、負担分はなんと約40%にも及ぶのです。
この40%も労使折半になるので実際、被雇用者の負担分は20%となりますが、通常は会社にとっては会社負担額も含めたものが人件費となる為、給与額の120%が実際の給与所得と言っても過言ではないのです。
つまりドイツの場合、月々の給与を100とした場合、実際に支払っている額(実際の給与)は120となり、その内の1/3が社会保険料として源泉徴収されていきます。
さらにここから、所得税などの税金を差し引かれます。これもまた高額なのですが…。そしてようやく手元に残る手取り額が確定します。

今日はそのドイツの社会保険料について記しておきたいと思います。

まずドイツの社会保険には4種類あります。

  1. (公的)年金保険 - Rentenversicherung(RV)
    公的と記したのは、保険会社等による年金保険ではなく官営の公的機関による年金保険を指すからです。Deutsche Rentenversicherungによって運営・管理されていて、毎年届く年金通知に受給額の見込み値が記載されています。外国人の場合、通常5年間、60ヵ月収め続けて初めてこの年金通知が届くようになります。それに満たない場合でも、Deutsche Rentenversicherungに問い合わせればおおよその額は教えてもらえます。

  2. 公的健康保険 - Gezetzeliche Krankenkasse(KV)
    先の記事 海外勤務のすゝめ - 現地採用、現地起業、駐在員 でドイツの医療保険制度について簡単に触れました。そこにも記した最も一般的な医療保険が「公的健康保険(公的健康保険組合)Gezetzeliche Krankenkasse」になります。
    基本的な治療は100%カバー出来ますが、補完代替医療や歯のインプラント等には適応されません。扶養家族へも適応させることができ、大半のドイツ国民はこの医療保険に入っています。

  3. 失業保険 - Arbeitslosenversicherung(AV)
    日本と同様、被雇用者が失業した場合に適応される保険です。ドイツの場合、手取り額の約6割が保障されます。受給可能期間は社会保険料の納付期間の長さによって変化しますが最長2年まで受給することが出来ます。

  4. 介護保険 - Pflegeversicherung(PV)
    自らの介護に必要な額の約半分を保障してくれる保険です。1500ユーロ以上は自己負担になりますが、保険会社の介護保険(プライベート介護保険)などでカバーすることが出来ます。

各社会保険の内容に関しては日本とほぼ似ていると思います。

ではここで、上記の社会保険料に関して労使それぞれの負担割合も含めてみていくことにしましょう。

給与からどれほどの割合が天引きされているかが分かります。

  1. 公的年金保険
    被雇用者 9.45%  雇用主 9.45%  計 18.90%
  2. 公的健康保険
    被雇用者 8.20%  雇用主 7.30%  計 15.50%
  3. 失業保険
    被雇用者 1.50%  雇用主 1.50%  計 3.00%
  4. 介護保険
    被雇用者 1.025%  雇用主 1.025%   計 2.05%

 被雇用者 20.175%  雇用主 19.275%  合計 39.45%

 

なんと税金を除く社会保険料だけでも被雇用者が20%以上払っていることになります。そう考えるとまだ理解できますが、先述の通り雇用主の負担額も含めた数値が会社にとっての本当の人件費。実際は会社の20%も自分で払っているようなものなのです。つまり社会保険料の約40%は自分で支払っているようなものなのです。面接や採用時、会社との給与交渉の際はこの会社負担の20%のことも頭に入れておくといいかもしれません。

さらにここからドイツの高い各種税金が源泉徴収されていくことをお忘れなく。

ではここでいくつか分かりやすい例を挙げてみましょう。

 

1. シュテファンさんのケース

30歳、独身、バイエルン州在住、教会には未所属

月給 4000 EUR/月

社会保険料

  • 公的年金保険
    378 EUR
  • 公的健康保険
    328 EUR
  • 失業保険
    60 EUR
  • 介護保険
    51 EUR

税金

  • Solidalitätzuschlag(連帯付加税-東西ドイツの経済的格差是正の為の税金)
    41 EUR
  • 給与所得税
    745.58 EUR

天引き額合計 1603.58 EUR

手取り額合計 2396.42 EUR

 

2. トーマスさんのケース

35歳、既婚(奥さんの所得は無し)、バイエルン州在住、教会にも所属

月給 5000 EUR/月

社会保険料

  • 公的年金保険
    472.50 EUR
  • 公的健康保険
    332.10 EUR
  • 失業保険
    75 EUR
  • 介護保険
    51.64 EUR

税金

  • Solidalitätzuschlag(連帯付加税-東西ドイツの経済的格差是正の為の税金)
    38.81 EUR
  • 給与所得税
    705.66 EUR
  • 教会税
    56.45 EUR

天引き額合計 1732.16 EUR

手取り額合計 3267.84 EUR

 

いかがですか?この天引き額にこの手取り額…。

ケース2のトーマスさんの場合、シュテファンさんと比べ既婚で配偶者の所得がないことから若干の税制優遇措置はとられていますが、それでもこの金額を毎月毎月支払うことになります。

特にシュテファンさんの様な単身者や、夫婦共働きで子供がいないケースは税金の源泉徴収額が大きくなります。

その税金に関してはまた次回にでも説明しようと思います。

 

参考文献・サイト

Beitragsberechnung - Sozialversicherungsbeiträge