今そこにある危機 - エボラ出血熱の欧州での感染確認を受けて今知っておくべきこと
今日は楽観視出来ない、私達の間近に迫っているまさに「今そこにある危機」に関して書きたいと思います。
昨日付のロイターでスペインでエボラウィルスに感染した新たな患者が確認されたという記事を読みました。
エボラ熱がスペインとフランスで拡大か、1人は機内で発症 | ワールド | 拡大するエボラ感染 | Reuters
また、朝日新聞はスペインでの感染者拡大を受け3次感染の疑いをも報じています。
【エボラ出血熱】スペインで3次感染の疑い 2次感染の女性を搬送した男性が検査入院
エボラウィルスに関しては今年に入り西アフリカを中心に感染が急激に拡大していますが、スペインでは今月6日アフリカ大陸以外が感染場所となる初めてのケースが確認されています。
スペインでエボラ熱感染、アフリカ大陸以外で初 | Reuters
この事例を受けて今回の2次感染、更には3次感染の疑いというニュースを目にすると、そうそう暢気な気分ではいられなくなります。
日本とは異なり、ヨーロッパは陸続き。更にはEUの協定でEU圏内において昨今ではほとんどの国で物や人の往来が比較的自由に行えるようになっています。
そのことを考えると、スペインやフランスでの感染はドイツ及び欧州全域での感染拡大をも意味しているのです。
これだけ物や人の往来が自由化しパスポート無しでも隣国を訪れることが可能な今の欧州において、感染拡大を水際で止めることのできるよほど抜本的な措置がなければパンデミックになり欧州はパニック状態に陥る危険性も否めません。
しかし、残念ながら現時点ではそのような対策は見受けられません。それどころか、情報が不足し市民の不安は募る一方。疑心暗鬼の恐怖の総和が新たに憂慮すべき事態をも引き起こしかねない状況です。
エボラ熱、いらだつスペイン 情報不足、根拠ないうわさも:朝日新聞デジタル
スペインの例はいずれのドイツかも知れません。
実際、ドイツはエボラ出血熱の感染が確認された4ヵ国と直行便を結んでおり、感染者の入国はまさに時間の問題と言えます。
ドイツの他、英国、オランダ、ベルギー、イタリアそして感染が確認されたスペインやフランスもエボラ感染地域の国々と直行便で結ばれています。
出典: ロイター
では、実際にエボラウィルスはどのように媒介するのでしょうか。
感染症などを専門とする医師兼ジャーナリストが記した記事がロイターに上がっていたのでそちらも掲載しておきます。
コラム:エボラ感染経路について知っておくべき事実 | Reuters
ここで重要なのはエボラウィルスは空気感染ではなく飛沫感染でのみ媒介するということです。
多くの人が不安から疑心暗鬼に陥り、空気で感染すると思いがちですが、実際のところ飛沫感染のため幸いにも空気感染ほどの感染力はありません。
しかし、一度感染すると致死率は60%にものぼるとされ、ワクチンや効果的な治療薬もないため、現時点では感染を未然に防ぐ作がもっとも重要な鍵となります。
しかし、感染を未然に防ぐにも、下記の通りの最大で21日もの潜伏期間があってはなかなか感染の有無を確実に調べるのは難しい部分もあるかと思います。
出典: ハフポスト
しかし、幸いにもCDC(アメリカ疾病管理予防センター)が発表しているCDC Fact Sheetでは、エボラ潜伏期間中の保菌者から感染はしないという事実も公に記されています。
Can I get Ebola from a person who is infected but doesn’t have fever or any symptoms?
(保菌者だが発熱やその他の症状が見られない患者からの感染はありますか?)
No. A person infected with Ebola is not contagious until symptoms appear.
(いいえ。エボラウイルス保菌者でも症状の発症があるまでは感染の可能性はありません。)
また、同資料の中でCDCはエボラウィルスから身を守る方法として下記のように記しています。
もしあなたがエボラ感染拡大地域にいるもしくは渡航する場合、エボラへの感染を防ぐために次の事を行ってください。
- 高い頻度で手を洗う。
- 他人の血液や体液への接触は控え、特に病気の人との接触は避ける。
- 感染が疑われる人物が使用しその人物の血液や体液が付着している可能性のある物には触れない。
- エボラ感染者の死体には触れない。
- コウモリ及び非ヒト霊長類やそれらの血液や体液への接触は回避し、これらの動物の生肉を触ったり食したりしない。
- エボラ患者が治療を受けている病院を避ける。米国大使館や領事館では医療機関に関する情報を提供を行っている。
- 38.6℃以上の発熱または次の何れかの症状が見られたら直ちに意志の診察をうけること。頭痛、筋肉痛、下痢、嘔吐、胃の痛み、または原因不明のあざや出血
- 医療機関へ行く場合は他の人とのコンタクトは避ける。その場合、医療機関以外への外出はしないこと。
これを見てみると、エボラ感染の予防措置として具体的にできることは、感染者やコウモリ等の動物との接触を避け、手洗いを徹底する程度しかないことがわかります。
つまりこれは感染が拡大している地域においては打つ手が無いということです。
もし今後、欧州でエボラウィルスの感染が拡大した場合、一番は効果的な措置はエボラウィルスが確認されていない地域へ避難することではないでしょうか。
実質的な予防措置そしてワクチンや治療薬がない現段階において、最も効果的なことは危険性を出来る限り排除していくことなのです。
欧州で感染が確認された以上、もう我々もにとってもエボラの感染拡大は「対岸の火事」ではありません。
今こうしている間にも、欧州いやドイツでも感染が広がっているかもしれません。
エボラウィルスのアウトブレイクは正に、今そこにある危機なのです。
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