非教養人の抗議集会もどき in Köln
先日10月26日の日曜日、ケルンで自称「フーリガン」と名乗る連中がSalafisten(イスラム教過激派)に対するデモと称し大規模集会を行ったようです。
"Hooligans gegen Salafisten"(フーリガンはサラフィズム主義者に反対する)というスローガンのもとに2500人にも及ぶProleten(所謂、教養・一般常識が著しく欠如している労働者階級出身者)がケルンの街に集まりデモ行進を行ったようです。
しかしそこは教養のないゴロツキどものこと。イスラム過激派に反対するデモのはずが、ビールを片手に大勢で警察車両を転がし出す始末。単なるネオナチの集会へと姿を変え、警察機動隊も1000人規模で対応にあたる羽目に。
当日の様子がSpiegel TVとSüddeutsche Zeitungのホームページに動画とともに掲載されていました。
Hooligans gegen Salafisten - Jagdszenen in der Kölner Innenstadt
2500人以上のゴロツキどもに対し1000人規模で対応した警察でしたが、手に負えず催涙ガスや放水車まで出動させ事態を鎮圧したようです。上のSpiegel TVによると少なくとも13人の警察官が負傷したとのこと。
勿論、サラフィストのようなイスラム過激派たちが姿を現したはずもなく、結果として抗議相手のいないデモとなった。強いて言えばこのゴロツキの集会に対するGegendemonstranten(対抗デモの参加者)くらいでしょうか。
しかし、ここで疑問が生じます。
上のSüddeutsche Zeitungからの抜粋です。
Die Frage ist nun: Muss man gegen Leute demonstrieren, die gegen den IS demonstrieren? Ist man dann womöglich irgendwie für die Terroristen?
果たしてイスラム国のようなサラフィズム主義者たちに対するデモに反対するデモはしなければいけないのか?というこはそれはつまりテロリストたちを支持するってこと?
全く皮肉がきいていますね。
私も去年、ミュンヘンでHooliganとは名乗っていなかったもののネオナチの集会に遭遇したことがあります。
Bayerische Staatsoper(バイエルン州立歌劇場)の前の広場に数百人が集まりProleten独特のドイツ語で支離滅裂な主義主張(?)を繰り広げていました。それに対してのバイエルン州立歌劇場の対応がまた優雅でした。
"Wir protestieren gegen Nazi-Rituale vor unserer Haustüre - Die Bayerische Staatsoper"(我々は我が門口前でのナチの式事に断固反対する - バイエルン州立歌劇場)
と書かれた横断幕を中央入口に大々的に掲げ、その下でジャズ・バンドの生演奏を行ったのでした。ネオナチたちを目前にまるでジャズの屋外コンサート。異様な光景でした。
日本でも最近、偏狭的な視野の持ち主たちが公衆の場で拡声器を用いてヘイトスピーチを行ったり、外国人排斥などと時代錯誤も甚だしい島国根性丸出しの馬鹿げた主張を訴えているようですが、このような視野の狭い非教養人への対応というのはどこの国でも手を焼くもの。
日本人同士のデモや議論を見ていてつくづく思うのが、日本人は論理的に話や議論をしたりするのが非常に下手くそだなということ。
だから日本のデモの場合もすぐ感情的になり「ヘイトスピーチにヘイトスピーチで応戦」という事態が起こるのだと思います。
自己主張が強くわがままなドイツ人ですが、「議論」で論理的に相手を論破するのはドイツ人の得意技。幼い頃から「特訓」を受け、友達同士でも集まればすぐ「議論」が始まります。(これもこれで時々疲れますが…)
感情的にならず理性的にそして論理的に意見交換をする。こうした議論の技術を日本人はドイツ人(上のデモのゴロツキどもは除く)から少し学んだ方がいいのかもしれません。
そして、偏狭的な主張のデモやヘイトスピーチに対してはただ大声で罵倒し返したり殴りあったりというような非文明的な方法ではなく、バイエルン州立歌劇場のような洒落のきいた方法での対応がより頻繁に日本でも見られることを願います。
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