ドイツ語は…に話しかける言葉?! - ドイツ語の響き
少し前にネット上で流行した動画で "How German sounds compared to other languages" という動画があります。
他の言語と比較して、ドイツ語の響きが如何に美しくないか…ということをアピールした動画です。
ここのドイツ語はかなり大げさに発音されています…。
German Language Compared to other Languages - YouTube
濁音の多さ
確かにドイツ語というと言葉に「ゲ」や「ガ」などの濁音が多く出てくることで知られ、イタリア語やフランス語の響きと比べると美しくはないかも知れません。
実際ドイツ語の規則変化の過去分詞は「ge+語幹+t」で作られ日常会話は濁音で溢れかえっています。
特に現在のドイツ語においては、「現在完了=話し言葉」、「過去形=書き言葉」という大きな住み分けができているので現在完了に必要な過去分詞の頻出度も高くなり、全くドイツ語の知識がない人からすれば日常の会話を聞いているだけでも濁音だらけという印象になると思います。
他にも動画に出てくるように名詞などにも頻繁に濁音は出てきます。
ドイツ語のRとCh
また、ドイツ語が他の言語と比較してこのように特徴的に聞こえるのにはドイツ語のRの発音も理由として挙げられると思います。
一般的に日本人が苦手とされるRとLの区別ですが、ドイツ語の場合、RとLには大きな違いがあるので区別自体は何ら難しくはないかと思います。
しかし、Rの発音自体が喉彦を震わせるまたは喉自体を共鳴させる為、独特な音が生まれそれがドイツ語という言語のこうした印象をも形成しているといえると思います。
ドイツ語のRに関して面白いチュートリアル動画を見つけたので掲載しておきます。
Das deutsche R - The German r (Tutorial) - YouTube
ドイツ語にはCh(日本語などでは単語に応じてハ、ヒ、ホなどと記される)という音があり、そのCh自体の音(動画開始約0:25)がこれまた独特です。
カタカナの「ハ」、「ヒ」、「ホ」などとそんな可愛らしい音ではありません笑
日本人からするとまるで「空いびき」でもかいているように聞こえるこのChですが、こちらの動画では「Rの音はこのChと基本的には同じだが、やや柔らかく発音し更に音をつける」と言っています。その音をつけると言うのが動画(開始約0:55)で見ることができます。その他、ドイツ語のRの発音練習として水なしでうがいを行う要領で発音すると上手くできるそうです(開始約1:15)。
また動画(開始約2:18)からはRiese(巨人)やRücktrittbremse(自転車などのコースターブレーキ)といった具体的使用例が出ています。
中でも極めつけはこの早口言葉。
Dreihundertdreiunddreißig riesige Reiter ritten dreihundertdreiunddreißig mal um das große runde Rothenburger Rathaus.
333人の大柄の騎士達が馬にまたがりローテンブルクの市庁舎の周囲を333周回った。
このRだらけの早口言葉が完璧にできればあなたのドイツ語もドイツ語らしく聞こえる!…かも知れません。
ドイツ語は…に話しかける言葉
ドイツ語を揶揄したエピソードで面白いものがあります。
16世紀の半ばにスペインで活躍したカルロス1世というスペインの王様がいました。
彼は現在でいうところのベルギー王国の地域出身でしたがスペインの王位に就きました。
しかし、彼は当初スペイン語は身につけていなかった為、スペイン国民の感情も理解できず反感を買った時期もあったそうです。
でもそれも初めのうちだけだったそうです。
その後、以前から身につけていたラテン語、フラマン語、ドイツ語、フランス語、イタリア語同様、スペイン語も習得し国民との距離を縮め彼らの感情などを理解しようと努力をしたそうです。
そんな語学の達人カルロス1世ですが、言葉を使い分けていたという逸話が残っています。
女性と語らう際にはフランス語を、
神に祈るときには スペイン語を、
そして馬に話しかける際にはドイツ語を用いたそうです。
ドイツ語は馬に話しかける言葉。
冒頭の動画のようなドイツ語に対する感覚は古の時代にもあったもののようですね。
最後に冒頭の動画 "How German sounds compared to other languages" の最新のものを含むフル・ヴァージョンもご覧ください。
全く日本語に聞こえない上、訳もかなり間違っている謎の日本語も登場します。
そして最後はNGシーン集。
ドイツ語の発音がますます強調されています…笑
How German sounds compared to other languages (full) - YouTube
発音だけ聞くと一見堅く無骨に聞こえてしまうドイツ語ですが、文法は実際英語などと比較してもかなり細かく活用や変化に富んでいます。しかし、言語自体がしっかりと体系化されている為、ルールは多いかもしれませんが逆に言えば一度その多いルールを頭に入れてしまえば、英語よりも例外がはるかに少なく使いやすさを覚える部分も多々あります。それに、ドイツ語の発音は日本人にとって、英語やフランス語よりも簡単で発音しやすいものです(こちらの動画ではそうは聞こえませんが…)。外国語を勉強する機会がありましたら是非ドイツ語を選んでみましょう。初めは覚えることだらけですが、そのロジカルで理論的な文法構造は勉強する上で覚えやすいと思いますよ。
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