Der Glockenbaum

独逸在住日本人の日々想ふこと。

役所で確認した種類別ドイツの滞在許可まとめ

先日、滞在許可更新の為にAusländerbehörde(外国人局)を久しぶりに訪れました。自分も外国人としてドイツで生活して久しくなり、その間に色々な手続きも行ってきているのでそういった手続き等に関してもまとめていこうと思います。

今日はまずドイツに90日以上滞在する際に必要となる滞在許可の種類についてまとめてみようと思います。先日の滞在許可更新の際に当局の担当者から教えてもらった事柄に加え、ドイツの法律(特にAufenthG)や連邦移民難民庁のページも参照して調べてみたのでこれからドイツで新生活を始めようとしている方などのお役に少しでもたてば幸いです。

 

ビザとは

通常、日本人が外国に渡航する場合、パスポートとの他にビザ(査証)が必要になります。

ビザとは大辞林 第三版によると

 その外国旅行者が正当な理由と資格で旅行するものであることを証明する旅券の裏書き。通常,行先国の駐在領事が行う。入国査証。査証。

とあります。

つまり、本来ビザとは 入国審査の前提であり入国許可ではないのです。入国許可は通常、港や空港で入国審査官の審査を受けて与えられるものでそのために必要な書類がビザということになります。

まとめると

ビザ=入国審査を受ける許可。その人物の旅券が有効で、その人物が入国しても差し支えないという裏書、証書のこと。なのでビザがあっても入国を拒否されることもあるということです。

ビザ≠入国許可・滞在許可

ということになります。

しかし、日本とビザを免除する協定を締結している国々においては入国の際ビザの申請は不要になります。外務省のサイトの他に、どの国がビザが必要・不要かなど、ビザの要否や渡航条件一覧が載っている便利なサイトを見つけたので掲載しておきます。

外務省

外務省: ビザ(査証) ビザ免除国・地域(短期滞在)

Mundito Online (旅行会社)

査証要否(観光目的・旅券残存有効期間)一覧

 

ではここドイツはどうでしょうか。

このビザ≠入国許可・滞在許可という概念はここドイツでも同じで、ビザは入国許可申請の一部であり、入国許可が下りてそこに一定期間以上滞在する場合は別途滞在許可を申請する必要があります。

日本人の場合、このビザはドイツとの協定で2000年12月よりいかなる目的の渡航であれ免除されるようになった為、90日以内の滞在であればパスポートのみで入国することができます。

 

 

滞在許可について

日本人がドイツで90日以上滞在または在住するためには、滞在許可を申請・取得する必要があります。その場合は現地の外国人局で滞在許可を申請する必要があります。

ワーキングホリデーの場合は、日本にあるドイツ大使館・領事館で事前に申請する必要がありますが、それ以外の滞在許可に関しては基本的にドイツ入国後に現地での申請を行うのが通常のようです。

では、滞在許可にはどのような種類があるのでしょうか。ドイツの場合、大きく4つに分かれます。

  • Aufenthaltserlaubnis(通常滞在許可)
  • Blaue Karte EU(EU Blue Card)
  • Niederlassungserlaubnis(無期限定住許可)
  • Erlaubnis zum Daueraufenthalt EU(EU圏内における無期限定住許可)

これらの定義をBundesamt für Migration und Flüchtlinge(ドイツ連邦移民難民庁)のホームページにあるAufenthalt in Deutschland(2012年9月18日付)で確認してみました。以下、原文と私が翻訳したものを掲載しておきます。

 

1. Aufenthaltserlaubnis

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Aufenthalterlaubnis(通常滞在許可)

この滞在許可は期限付きのものであり、下記の人向けに発行される。

  • ドイツ国内でAusbildung(職業訓練)を行いたい者  (§§ 16-17 Aufenthaltsgesetz)
  • ドイツ国内での就労を希望する者 (§§ 18-21 Aufenthaltsgesetz)
  • 国際法的、人道的ならびに政治的理由からドイツ国内での滞在が許可された者 (§§ 22-26 Aufenthaltsgesetz)
  • 家族・親族等の関係でドイツに移住する者 (§§ 27-36 Aufenthaltsgesetz)
  • 外国人及び元ドイツ国籍保有者で再びドイツへの帰還を希望するもの (§§ 37, 38 Aufenthaltsgesetz)
  • EU加盟国内の別な国から長期滞在権を与えられた者 (§ 38a Aufenthaltsgesetz)

この滞在許可は延長することが可能である。その際は原則として、申請者が「移民統合講習」* へ参加したかどうかも考慮される。

* 移民統合講習とは、移民で主に高等教育機関を卒業していない者を対象とした講習。ドイツ語はもちろんドイツの文化や歴史、地理などに関して学習し、ドイツ社会へ適合へ適合できるようにすることを主目的としている。

Arbeitserlaubnis(就労許可)※緑のボックス欄

第三国(EU加盟国、EWR欧州経済領域内の国及びスイス連邦以外の国)の出身者は、そのことが 1. Aufenthaltserlaubnis(通常滞在許可)に明確に記載されている場合にのみ原則的にドイツ国内での就労が認められる。EU加盟国、欧州経済領域内の国及びスイス連邦の出身者に関しては労働者の移住権が適応される。詳細に関しては担当の地元の外国人局に問い合わせること。

 

2. Blaue Karte EU

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Blaue Karte EU(EU Blue Card)

EU Blue Cardとは高等教育機関での教育を受けた者ないしそれと同等の資格を有する者が、その資格を駆使して適切な職に専念することを目的に発行される、初回の認可で原則的に4年間の滞在が可能になる滞在許可のことである。一般的な年金保険の保険給付最高額の3分の2(2014年 47.600 EUR)以上の所得が確保できる労働環境がその他の条件として挙げられている。ドイツにおいて特段の需要がある職業に関してはこの許可が下りるための所得制限が削減される(2014年 37.128 EUR)。

このEU Blue Cardを所持し、33ヵ月以上相応で適格な職に従事し、その期間において(義務の)年金負担額を支払ったないし同様の実績を履行した者には 3. Niederlassungserlaubnis(無期限定住許可)が付与される。また上記該当者において、ドイツ語能力レベルB1以上を有することが証明されれば、すでに21ヵ月時点で先の 3. Niederlassungserlaubnis(無期限定住許可)が付与される。

このEU Blue Card保持者の配偶者で、同時に又は後にドイツ国内に転居してきた者のドイツ語能力に関しては、問われることはない。またEU Blue Card保持者の配偶者はすぐに就労する権利も与えられる。

 

3. Niederlassungserlaubnis

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Niederlassungserlaubnis(無期限定住許可)

この定住許可は無期限である。この無期限定住許可保持者はドイツ国内において就労することが出来る。

このNiederlassungserlaubnis(無期限定住許可)を取得する為には、原則として5年間に亘り先の 1. Aufenthaltserlaubnis(通常滞在許可)を所持し、その他の諸条件も満たしていることが前提とされる。

このNiederlassungserlaubnis(無期限定住許可)を申請したい者は、例えば自己の及び家族構成員の生計確保や十分たるドイツ語能力を持ち、無前科でなくてはならない。きわめて優秀な移民の場合、このNiederlassungserlaubnis(無期限定住許可)は先の期間的条件なしで付与される場合がある。

 

4. Erlaubnis zum Daueraufenthalt EU

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Erlaubnis zum Daueraufenthalt-EU(EU圏内における無期限定住許可)

 このErlaubnis zum Daueraufenthalt-EU(EU圏内における無期限定住許可)に関しても就労許可を伴う無期限の滞在許可であることに変わりはない。

このErlaubnis zum Daueraufenthalt-EU(EU圏内における無期限定住許可)の付与に関しては、著しく先の 3. Niederlassungserlaubnis(無期限定住許可)に条件が準拠する。相違点はEU加盟国内における遊動性であるがこれは他のEU加盟国からの期限付き滞在許可を有することが条件となる。尚、同一人物に対し平行して複数のEU加盟国から同時に無期限の滞在許可が下りることはない。外国人であり特定の法的立場を理由にドイツに滞在しているもの、例えば亡命者及び難民に属する者はこのErlaubnis zum Daueraufenthalt-EU(EU圏内における無期限定住許可)を取得できる限りではない。

Tipp (アドバイス)※緑のボックス欄

3. Niederlassungserlaubnis(無期限定住許可)及び 4. Erlaubnis zum Daueraufenthalt-EU(EU圏内における無期限定住許可)に必要とされる十分たるドイツ語能力を身につける方法は色々あるが、移民統合講習での好成績を持って証明することも可能である。

 

ドイツ連邦移民難民庁のこのページからの情報は以上ですが、まとめると以下のような感じでしょうか。

 

1. Aufenthaltserlaubnis(通常滞在許可)

学業やAusbildung(職業訓練)または就労を目的とした滞在など、ほとんどの滞在許可はこれに当てはまると思います。学生やAusbildungの場合はその期間に応じて滞在許可が下ります。就労を目的とした滞在許可に関しては正社員(unbefristet)の場合、多くは初回は1年、2回目以降は2年程の滞在許可が下りるはずです。

  • 学業を目的とした滞在許可 (俗に言う学生ビザ)
  • Ausbildung(職業訓練)を目的とした滞在許可( 〃 職業訓練ビザ)
  • 就労を目的とした滞在許可( 〃 就労ビザ)
  • 家族・親族を目的とした滞在許可( 〃 家族呼び寄せビザ)

この辺りが日本の方にとっては馴染み深いでしょうか。

必要になる書類は滞在許可の種類によって異なりますが、ドイツの役所は本当にいい加減な上、担当者に裁量があるため人によって言うことが異なるというのは日常茶飯事です。なので、必要書類に関しては一度、居住予定の街が管轄しているAusländerbehörde(外国人局)に問い合わせることをおすすめします。

 

2. Blaue Karte EU(EU Blue Card)

このEU Blue Cardに関しては私自身よく知らなかったので調べてみました。これは2012年8月1日より施工された新法律に基づく制度だそうで、簡単に言えば今までひとくくりにされていた「外国人」が、「特殊技能や高資格を持つ外国人労働者」と「そうでない外国人労働者」に選別されるようになり、そのうち「高資格外国人労働者」への規制緩和を目的として定められた制度のようです。具体的な内容に関しては上の翻訳のとおりですが、そこに書いていなかったことがひとつあるので追加しておきます。大学卒業資格を有する人は実際に就職先が決まっていなくても、就職活動のための滞在許可が最長で6ヵ月まで申請できるのだそうです。EU Blue Cardに関してはドイツ大使館ホームページEU諸国で働くための「ブルーカード」も参照してみてください。

 

3. Niederlassungserlaubnis(無期限定住許可)4. Erlaubnis zum Daueraufenthalt EU(EU圏内における無期限定住許可)

この2つは基本的にな条件はほとんど同じようです。

では一体何が違うのか。

役所で確認した所、色々教えてくれたので大きな相違点を簡単にまとめると以下のようになります。

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※Niederlassungserlaubnisの場合、6ヵ月間以上に亘りドイツ国外に滞在した場合、同滞在許可は失効となる。
Erlaubnis zum Daueraufenthalt EUの場合、12ヵ月以上に亘りEU圏外(デンマーク、アイルランド、イギリスはその限りではない)に滞在した場合、同滞在許可は失効となる。

こうしてみるとErlaubnis zum Daueraufenthalt EUの方がNiederlassungserlaubnisよりも好条件なのがわかりますね。EU圏内での移住の自由度が広まり、EU諸国においても滞在許可取得の条件が下がり滞在許可を取得しやすくなるというのは大きいかもしれませんね。しかし、この滞在許可の緩和つまり移住の際、Erlaubnis zum Daueraufenthalt EUが使用できない国がEU圏内にあります。それがデンマーク、アイルランド、イギリスです。例えばErlaubnis zum Daueraufenthalt EUをドイツで取得後、これらの国に引っ越したいという場合はその国の法律に基づいた申請しか適用されないということです。その点は注意が必要かもしれませんね。

この他、もう一点Erlaubnis zum Daueraufenthalt EUの方が優れている点があります。それは滞在許可が失効になる条件がNiederlassungserlaubnisより若干甘いということです。Niederlassungserlaubnisの場合、6ヵ月以上に亘りドイツを出て生活した場合に失効となりますが、Erlaubnis zum Daueraufenthalt EUの場合は12ヵ月以上に亘り(デンマーク、アイルランド、イギリス以外の)EU圏を出て生活した場合に失効となります。つまり、失効までの猶予がNiederlassungserlaubnisよりErlaubnis zum Daueraufenthalt EUの方が長い上に、それが失効になる条件としての居住エリアがNiederlassungserlaubnisのドイツ国内からErlaubnis zum Daueraufenthalt EUではEU圏内へと格段に広くなっているということです。

これらがこの2つの滞在許可の大きな違いと言えると思います。

 

 

以上、2014年10月現在のドイツ滞在許可の種類別まとめでした。

これからドイツでの生活を予定している方、滞在許可の更新が必要な方などのお役にたてば嬉しいです。

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