Wies'n - Oktoberfest
ミュンヘンで毎年開催されるOktoberfest。
2週間少々の会期の最終日を明日10月5日(もう今日か…)に控え、最後の週末とあり街の賑わい具合は最高潮に達しています。
Oktoberfestには毎年数回必ず足を運ぶのですが、今年は一回だけに留まりました。
出張や家でのスケジュールなどでなかなか折り合いがつかなかったためです。
しかし、実際にドイツに住んでいると年々出不精になりつつあるのもまた事実です。
私にも今以上にアクティブに動き回っていた時期がありました。
Oktoberfestも毎回異なる友人たちと数回訪れるのが常でしたし、毎回楽しいと思えていました。
しかし、なかなか席が確保できない上に、酔っぱらいの絡みなどが鬱陶しく誘われた時にのみ行くようになってきていたのかもしれません。
全く贅沢な悩みかもしれませんが。
そんなことはさておきOktoberfest、地元ではWies'nと言いますが、その歴史に関してごく簡単に記しておこうと思います。
Wies'nの起源はバイエルン王国の国王ルートヴィヒ1世の結婚の儀に由来すると言われています。当時、式の後に古来から欧州では貴族のスポーツとして嗜まれてきた競馬が当時のミュンヘンの城壁のすぐ外で開催され、その場所がTheresienwiese(テレージエン緑地)と呼ばれており、そこで同祭りがそれ以降開催されたことからドイツ語のWiese(緑地)がミュンヘン方言のWies'nへと変化を遂げOktoberfestを指す同義語となったというのが起源です。
実際、Oktoberfestという名前から祭りは10月から開催されると思われている方が多いようですが、実際はその会期の半分以上が9月末で10月にかぶるのは3日間なんて年もあるくらいです。なので本場のWies'nを訪れる際はオフィシャルサイトで会期を確認されることをおすすめします。
こちらがオフィシャルサイトです。
Oktoberfest.de - Die Website zur Wiesn
また実際にWies'nにはどのくらいの人が訪れどれくらいのビールが消費されているのでしょうか。
面白いサイトを見つけましたので載せておきます。
その名もOktoberfest Statistik(オクトーバーフェスト統計学)。
こちらは去年2013年のものですが、こう見るとWies'nが危険な祭りに見えてきます。
Oktoberfest Statistik 2013 - Oktoberfest
訪問者、食べ物、飲み物
訪問者: 640 万人
マースビール(1lのビール): 670万リットル
食事: 雄牛114頭分の牛肉
暴行、喧嘩、傷害
頭部損傷: 449人重度の怪我: 99人
1lグラスを用いた暴行・傷害: 58人
死亡事故: 0件
逮捕者: 759人
性犯罪: 16件
アルコール中毒による医療的経過観察: 638人
遺失物
セグウェイ: 1台
結婚指輪: 2個
補聴器: 1台
鍵: 400個
スマートフォン: 320台
これらの数字を見ると危険な印象を受けますが、結局のところ自分で自分のコントロールさえ失わなければ楽しいお祭のはずなのです…。
それが出来ない人々が年々増えているのかもしれないですね。
ではここで、写真ですが本場オクトーバーフェストの雰囲気を少しでもお伝えできればと思います。
毎年行っているので今年以外のものも混ざっているかもしれませんが悪しからず。
Spaten Ochsenbraterei Festzelt (Spaten Ochsenbratereiのテント)
Augustiner Festzelt (Augustinerのテント)
Schottenhamel Festzelt (Schottenhamelのテント)
Schützen Festzelt(Schützenのテント)
Augustinerのメニュー(2010年)
こちらがAugustinerのMaßkrug(1lのビールジョッキ)
Halbes Hendl(鶏の丸焼きハーフサイズ)
Hendlとはバイエルン語で標準ドイツ語ではHähnchen、即ち鶏肉やニワトリを指します。
Augustiner Festzelt
高揚した気分で一気飲みをする若者たち
勿論、飲み干せないとブーイングです。
そして煽る周りの観衆。
完璧に出来上がっていますね。目がうつろ…。
毎年Wies'nを訪れると行きたくなるのがこのAugustinerのテント。
地元ミュンヘンっ子が皆口をそろえてAugustinerのビールが一番だと言うように、実際この醸造所のビールは大変美味しいです。
街中のレストランでもこの醸造所のビールを扱う為には、厳しい審査があり温度管理や注ぎ方なども指導されます。それが順守出来ない場合は取り扱いが出来ないというこだわり様。
今ドイツにある有名なビールの醸造所のほとんどには外国資本が参入しており、大量消費用に大量生産を行い、製造工程に於いても合理化がされています。その ため味に関しても伝統的な製造方法と比べると違いがあり、そんな中でも消費の規模は小さくても地道に伝統的な製造方法でビールを作っている Augustinerの職人気質な経営方針には敬意を払わざるをえません。そのこだわりこそが多くの地元の人々に支持されているのでしょう。
Augustiner Bräu(Augustinerビール醸造所)の人気と成功に関しては多くのメディアでも多々取り上げられています。面白い記事を見つけたので2つほどピックアップしておきます。興味のある方はどうぞ。
Süddeutsche Zeitung Magazin
ドイツ全国紙Süddeutsche Zeitungが発行する小冊子。毎週金曜日発行号に折り込まれている。
Das Augustiner-Gefühl - Essen & Trinken
Augustiner気分
ミュンヘンっ子と彼らの好きなビールブランド。そこには一風変わった物語があった。 その醸造所は宣伝・広告を行うことはない。しかし、ほとんど独占的地位を保っている。何故?その神話に迫る。
The Huffington Post Deutschland
アメリカのリベラル系インターネット新聞。2013年5月、朝日新聞社との合弁で作られた日本版のThe Huffington Post Japanが開設。ドイツ版は同年10月に開設されている。
Augustiner aus München: Was macht dieses Bier so verdammt erfolgreich?
ビールの奇跡
ミュンヘンのAugustiner。一体何がこのビールブランドをこれ程までに成功へと導いたのか。
歩くのもやっとというのが例年のWies'n。
勿論、地下鉄も満員。
そうなると、最寄り駅も大混雑です。
ちなみにこれはまだ空いている方…。
こんな子供もバイエルンの女性用民族衣装DirndlでWies'n気分です。
こちらはおまけ。
開始と同時にWies'nを訪れるとこんなレアなショットも撮ることができます。
こんなに閑散としたWies'nの風景もあるんです。
Festzelte(会場のテント)の種類に関しては下記のリンクをご参照ください。
どのテントに座席が幾つあり、どのテントでどのブランドが提供されているかやビールの価格も表示されています。
Festzelte auf dem Oktoberfest – Wikipedia
いかがでしたでしょう?少しでも本場のOktoberfestの雰囲気が伝わったでしょうか。
日本でも近年「オクトーバーフェスト」と名のつくビール祭りが全国で、しかも全く秋でもない季節に開催されているそうですが、もう少し本場の雰囲気を作るよう努めた方が良いのではと個人的には毎回思ってしまいます。
しかしまあ、ビールは一応ドイツのものが飲めますし、あとは日頃恥ずかしがり屋な日本の方々がどこまではじけられるかによっても祭りの楽しさは変わってくるのかもしれません。
一番大切なのは美味しいビールを気心しれた仲間や新しく知り合った人々と楽しく飲む。その時間やその場の雰囲気というのは何物にも代えがたいものですね。