Der Glockenbaum

独逸在住日本人の日々想ふこと。

ドイツで鍼治療

先日、ドイツで鍼灸治療を受けてきました。今日はそのことについて記しておきたいと思います。

ドイツは欧州の中では珍しく、補完代替医療が比較的浸透している国と言えます。自然的なものを好むドイツ人(ゲルマン系の北欧の人も同様)、薬など副作用のない治療方法が選択肢として一定の人気を誇っているのです。と言っても、もちろん鍼灸や漢方が以前から根付いている日本のような環境とはかけ離れています。この場合の人気とは、全く文化的背景がない国にしてはということです。

しかし、そうは言っても鍼灸に代表されるような補完代替医療、自然療法というものにはドイツの方々は関心が高いようです。例えば、ドイツでは医師の他にHeilpraktiker(ハイルプラクティカー)と呼ばれる自然療法士という国家資格を持った施術者がいます。彼らは医師同様、規定の勉強をすれば鍼灸や漢方を用いた治療を行うことができます。自然療法士の概念は第三帝国時代に生まれ、医師とは異なる治療法の探求などを目的に制度化されました。1939年にハイルプラクティカー法(HeilprG)と呼ばれる法律が制定され、国家資格となりました。ホメオパシーやクナイプ療法などはその治療の代表例と言えます。

このような背景もあり、ドイツでの東洋医学(主に中国伝統医療 Tradizioelle Chinesische Medizin)は現在も尚、副作用をもたらさないというメリットと西洋医学とのコンビネーションで補完代替医療としてドイツで根強い人気を博しています。その中でも鍼灸は人気があり先述のハイルプラクティカーを始め、医師でも鍼灸治療を行っている先生方は多いようです。特にWHO世界保健機関が鍼灸が有効であると認定した症状のうち特に腰・背痛及び膝等の関節痛には公的保険が適応されるということもあり(プライベート保険ではもちろん全てカバーされる)、ある程度一般的なレベルに於いても鍼灸治療と言うのは普及してきているような印象を受けます。(ドイツの医療保険の種類に関してはこちらの以前の記事をご参照ください。)

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そういえば以前、ドイツでの鍼治療の様子をテレビで見たことがあったので検索したらヒットしましたのでそちらも載せておきます。ドイツの国営放送ARD制作の番組です。ドイツの鍼治療の様子が垣間見れると思います。


Video: Schmerztherapie: Das Gehirn... - W wie Wissen - ARD | Das Erste

ということで、今回私もドイツで鍼治療を受けてきました。肩こりがひどく主にそこをメインに治療してもらいました。ドイツでは日本ほど筋肉の「こり」というものが一般的に認知されていません。人によっては肩が「こる」ということがどういうことかわからない人さえいます。私の場合は精神的なところから来ている部分もあると言われましたし、自分でもそう思うのですが如何せん対処の仕様がないのでこの度、鍼治療を受けてきました。

初めは「ドイツ人の医師が鍼治療?」と思ったんですが、いざ行ってみるとツボを熟知した先生で「Oh ja, es zieht!」(引きがくる)、つまり針が筋肉のツボに達した際に筋肉が痙攣して起こる萎縮を施術者としても感じるのでしょう、「Es zieht!」を連呼して私の症状に対するツボを即座に見つけそこを重点的に治療してくれました。施術後は、初めのうちはマッサージと同じで「返し」が来るのですが、その返しが消え去った後はだいぶ楽になったのが自分でもわかりました。ドイツ在住の方でもし鍼治療に興味のある方がいらっしゃいましたらお勧めです。

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ちなみに、今回の治療の際に使用して頂いた針ですがなんと日本製のものでした。さすがは日本製。針が体内に入る刺入の際も痛みが少なくすんなり入ってきました。体内に入るものとあり、日本製というとどこか安心感を覚えますね。調べてみたところSEIRINという日本の業界トップ企業の針だそうです。体内に入るものだからこそ食品と同じでその安全性は気になるところ。これなら安心して治療に行けそうです。

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機会がありましたら是非ドイツでも鍼治療を受けられてみてはいかがでしょうか?